野球肩(投球障害肩)とは

野球肩(投球障害肩)とは、投球動作によって肩関節周囲に損傷が生じ疼痛を主訴とする状態です。

「野球肩」という診断でも損傷される部位や組織は異なります。

野球肩の原因は、繰り返しボールを投げることによるオーバーユースだけでなく、フォーム不良(良くない投げ方)、上肢・体幹・下肢の柔軟性および筋力低下などがあります。

投球動作はワインドアップ期、ストライド期、コッキング期、加速期、減速期、フォロースロー期の6つに区分されます。

各相において、筋活動や負担のかかる組織は異なるため、痛みが生じるタイミングによって病態は異なります。

当院では医師と理学療法士が連携して患者様の評価を行い、原因に対して治療プラン、リハビリの内容を作成し実施しております。

野球肩の理学療法

野球肩の理学療法には、ストレッチ・関節モビライゼーション、運動療法、投球フォーム指導などがあります。

理学療法士が個々の患者様の身体・状態を評価し、機能障害の要因を判断し、治療内容を調整していきます。

理学療法士とは(外部リンク)

ストレッチ・関節モビライゼーション

   

投球時に肩関節に制限が生じると無理に投げようとして肘関節にも負担がかかりやすくなります。そういった場合には肩関節・肘関節のストレッチングをする必要があります。

投球動作は片脚でバランスよく立ち(ワインドアップ期)、前方にステップし(ストライド期)、骨盤・体幹をひねり(コッキング期・加速期)、前方にステップした足で体重を支える(フォロースルー期)のように、下半身・体幹の柔軟性・安定性も必要となります。下半身・体幹を意識して全身を使ったフォームの獲得のため、下半身のストレッチ・運動が必要になります。  

運動療法

  

肩関節の筋肉にはその動力となるアウターマッスル(三角筋・大胸筋・広背筋など)と関節の安定性を高めるインナーマッスル(棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋)に分けられます。

アウターマッスルは大きな力を発揮することができますが、肩関節を安定させることは出来ません。

インナーマッスルは、肩関節の安定性を高めスムーズな動きを可能にする役割を果たしています。インナーマッスルが適切に機能しないと肩関節組織の衝突・挟み込み(インピンジメント)が生じやすく、痛みの原因となりやすいです。

投球障害を抱える患者様に見られるのはインナーマッスルが適切に機能していないことや球威を腕の振りだけで上げようとする投球フォームであることが多く見受けられます。

原因としてはバランスの悪い筋力トレーニング(アウターマッスルのトレーニング)や、繰り返しの投球動作によってアウターマッスルの発達にインナーマッスルの増加が追いつかない場合が考えられます。

さらに「肩が強い」と表現されるためか、腕だけを強く振ってボールを速く、遠くに飛ばそうとするしてしまう投球を繰り返すと重症化してしまいます。

インナーマッスルがうまく機能するためには肩甲骨の固定性・安定性が必要です。

投球時に肩甲骨がしっかりと動き、固定されていないと、肩甲骨に対する上腕骨(二の腕)の位置不良が生じ、インナーマッスルがうまく機能しません。肩甲骨の動き、安定性を評価したのち、必要な肩甲骨の動きに対してエクササイズを行います。

投球フォーム指導

肩・肘関節に負荷のかかりにくい投球フォームの獲得も必要とされます。

一時的に肩・肘関節の痛みが軽減したとしても肘下がりフォーム、骨盤の開きが早い、手投げフォームなど投球障害の原因となりやすい投げ方を続けていると症状の悪化、再発が考えられます。

負担のかかりやすい投球フォームのポイントを指導し、肩・肘関節に負担のかかりにくい投球フォームの獲得を目指します。