頸椎症性神経根症・頸椎椎間板ヘルニア

頸椎症性神経根症とは、椎体、椎間関節、椎間板、靱帯などの加齢に伴う変化により神経根が圧迫され、疼痛や感覚異常などの症状が起きた状態です。

頸椎椎間板ヘルニアとは、椎間板の中心部の髄核が線維輪を突破し脊柱管内に突出することによって、脊髄や神経根を圧迫した状態です。

神経根が圧迫されると、神経根症状として筋力低下、知覚障害(感覚低下・痺れ)、深部腱反射の以上、肩から上肢に放散する疼痛があります。

頸椎症性神経根症・頸椎椎間板ヘルニアの理学療法

頸椎の変性に伴う神経障害の原因には、良くない姿勢、良くない身体の動かし方、不適切な習慣や環境、筋力不足、柔軟性低下、などによって起こります。1つの原因の場合もあれば、複数の問題が相互に関連している場合もあります。

理学療法士が、機能障害の要因がどのくらいあるのか、どういった機能が制限されているのか、問診・身体評価から見つけ出し、個々の患者様に合った理学療法を実施します。

理学療法では、関節モビライゼーション、エクササイズ・運動再学習、姿勢修正エクササイズ、日常生活指導などがあります。

1. 関節モビライゼーション

椎間孔の狭小化に対しては、椎間孔を拡大する関節モビライゼーションを行います。

2. エクササイズ・運動再学習

頸部痛の原因の1つとして筋力低下や筋の協調性低下があります。

頭部を支えるため、顔を向きたい方向に動かすために、頚椎周囲の筋力はとても重要です。

筋肉には、表面の筋肉(アウターマッスル/グローバルマッスル)と深い筋肉(インナーマッスル/ローカルマッスル)があります。深い筋肉は関節を安定させるために使われる筋肉ですが、表面の筋肉だけを使うようになると関節の安定性が低下、頸部痛を誘発します。

頸部周囲の筋力低下や協調性低下に対しては、段階的なエクササイズを実施していきます。頸部の筋力低下以外にも、頸部を正しく動かせない、脊椎のコントロールができないといった場合、正しい動作を再学習するために運動再学習のためのエクササイズを実施します。

第1段階:筋活動の修正

第2段階:筋力・持久力向上、頸部と肩甲帯の協調性

3. 姿勢修正エクササイズ

頭部前方位姿勢(頭が肩よりも前にでている状態)は、頸椎の可動性制限、頸部の筋力低下を引き起こし、また、頸部の負担を増大し、疼痛を誘発します。

頭部前方位姿勢(頭が肩よりも前にでている状態)になる原因として、体幹の筋力低下、関節位置覚の異常、胸椎・頚椎の可動域低下、頸部の筋力低下などがあります。

頭部前方位姿勢を修正するために、姿勢修正エクササイズを実施します。

頭部の位置を適切な位置に戻せない、正しい姿勢を認識できないといった関節位置覚の異常が怒っている場合、口頭指示だけでは姿勢を修正することが難しいです。

そのため、徒手誘導、自主トレ用紙などを同時に用いることで、不適切な姿勢を修正していきます。

4. 日常生活指導

急性期では、痛みがでないように痛みを避けた姿勢や動作をすることがあります。これを疼痛回避姿勢、疼痛回避動作といいます。

疼痛回避姿勢・動作は、損傷部位に負担をかけずに治癒を促進するために必要です。理学療法士から疼痛回避動作を指導する場合もあります。

頚椎の場合、痛みが誘発される動作や椎間孔が狭くなる動作として、顔を上に向ける動作(頚椎伸展)があります。

顔を上に向けた時に上肢への放散痛がでる場合は、急性期は行わないようにします。例えば、ペッドボトルを飲む、美容院での洗髪などがあります。

*あくまでも急性期の対応です。急性期が過ぎたら、顔を上に向く動作を再獲得する必要があります。

疼痛回避姿勢・動作は、損傷部位の改善に伴い、少しずつ修正していきます。

損傷部位が改善しているにもかかわらず疼痛回避姿勢・動作を継続していると、二次的な機能障害を引き起こしたり、慢性疼痛へ移行してしまいます。

理学療法士が適切なタイミングで、姿勢・動作の再学習を促していきます。