肩関節周囲炎とは

明らかな外傷や誘因がなく肩の経年変化によって肩関節周囲組織に炎症が起きたた状態を肩関節周囲炎といいます。

特徴的な症状として、痛み(夜間時痛・安静時痛・運動時痛)や可動域制限(リーチ動作制限、結髪・洗髪動作制限、結帯動作制限など)があります。多くの場合、最初に痛みがあり、次に可動域制限が出現します。

腕を上げるためには、肩甲骨と上腕骨がリズム良く動く必要があります。

不良姿勢、筋力低下、可動域制限などの理由によって肩甲骨と上腕骨の動きのリズムが悪くなると、腕を上に挙げた時や横に伸ばした時に、肩甲骨と上腕骨の間にある筋肉の腱が挟まれて痛みがでます。この状態をを肩峰下インピンジメンといいます。

肩関節周囲炎・腱板損傷の場合、この症候が特徴として現れます。

 

肩峰下インピンジメントのテストには、Neer test、Hawkins testなどがあります。また腕を上げる際や下げる際、60~120°の間で痛みが生じることをPainful arc(有痛弧)といいます。繰り返しストレスが加わることにより、組織の損傷や症状の慢性化の原因となります。

肩関節周囲炎の理学療法

急性期

急性期は、組織の炎症によって安静時や夜間時にも強い痛みがあり、痛みによって運動制限が起きています。

急性期の対応としては、痛みのコントロールが中心となります

この時期の積極的な介入は予後に悪影響を及ぼすため、基本的に安静肢位の指導、日常生活の動作指導を行います。痛みが強い場合には服薬や物理療法によるコントロールも実施しています。

夜間時の痛みが続くと睡眠ができなくなり、不安、ストレス、抑うつなどを起こし、さらに痛みを助長します。個々の患者様にとって楽な姿勢を提案します。

痛みが強い場合は、なるべく腕を横方向や後方向に動かすのではなく体の正面で使うようにします。また腕を90°以上まで挙げる動作は避け、90°以下で使うようにします。

痛みを伴う動作は避けるようにしますが、痛みの出ない範囲でのストレッチや徒手的介入は効果があるとも言われているため、疼痛内での日常生活動作は無理のない範囲で行うようにします。

拘縮期

炎症症状が収まると痛みが減りますが、可動域制限が起こります。

理学療法の目標としては、まず日常生活上で制限を受けやすい動作の獲得を目標とします。

目安にしているのは、頭を触れるか(結髪動作)、腰を触れるか(結滞動作)です。初期評価としても、どこまで触れるか確認しています。

それぞれの動作には最低限必要な関節可動域があります。しかし、肩関節以外の関節の可動性や代償動作の有無によって異なるため必要角度には個人差があります。日常生活に必要な肩関節可動域として、屈曲120°、外転70°、内外旋45°を目指します。

関節モビライゼーション・ストレッチ

マッサージ、ストレッチ、関節モビライゼーションなどを行い、関節の可動性や軟部組織の柔軟性改善を行っていきます。

自宅でも可動域を改善するために、時期に応じたエクササイズ、ストレッチを行います。

肩関節屈曲角度が90°以下の場合、タオルスライドエクササイズを行います。可動域改善に伴い、クロスアームストレッチ、スリーパーストレッチ、四つ這いでの広背筋ストレッチなどを実施していきます。

エクササイズ

肩甲骨周囲やインナーマッスルとよばれるローテーターカフの筋力の改善、また、正しく腕を動かすために、エクササイズを行います。自宅でもエクササイズを実施できるように、自主トレ用紙をお渡ししています。

当院では、個々の患者様の症状や状態に合わせて運動強度を設定し、その時期に必要な運動を紹介していきます。

胸椎は肩関節に影響を与える部位です。胸椎に対しても同時にエクササイズを行います。