ボルダリングと膝の怪我

こんにちは、理学療法士の佐藤です。勤務後や休日はボルダリングやリードクライミングを楽しんでいます。

私がボルダリングを始めた9年前は、岩場やボルダリングジムがたくさんの人で賑わうことはありませんでしたが、

ボルダリングは2021年の東京オリンピックの競技に選ばれたことでより注目を浴びて競技人口も増えています。

これはもちろん日本だけでなく、海外でも同様で競技人口が増えています。

競技人口が増えるにつれて、怪我の報告が増加しており、特に膝に関する怪我についてはクライミングで起こる怪我の全体の約10%を占めていると言われています。

私自身もボルダリングで膝の怪我をしており、それについては前回のブログ「半月板縫合術を受けたその後〜」で書きました。

サッカーやバスケットボールなどのスポーツ種目では膝の怪我予防の重要性は一般的になっていますが、

ボルダリングというと負荷のかかりやすい指の障害に注目されやすく、膝には注目されにくいです。

今回はボルダリングで発生しやすい膝の怪我についてご紹介します。

膝関節の構造

大腿骨(太ももの骨)と脛骨(脛の骨)を組み合わせた「脛骨大腿関節」

膝蓋骨(しつがいこつ:膝のお皿)と大腿骨(太ももの骨)を組み合わせた「膝蓋大腿関節」

膝はこれら2つの関節をまとめて「膝関節」と呼びます。

大腿骨と脛骨を繋ぐ靭帯(支柱のようなもの)がいくつかあるのですが、損傷を受けやすい重要な靭帯は

前十字靭帯と後十字靭帯、内側側副靱帯と外側側副靭帯があります。

脛骨と大腿骨の間にはクッションが内側・外側にあって、それぞれ内側半月板・外側半月板といいます。

膝関節は股関節と違いグルグル回すような大きな動きはできず、真っ直ぐ曲げる伸ばすといった扉の蝶番のような関節のため、捻るストレスに非常に弱いといわれています。

捻られるようなストレスがある一定を超えてしまうと靭帯や半月板を損傷する可能性があります。

ボルダリング特有の動き

ボルダリングで代表的な膝を捻りやすい動きは

A:ハイステップ(高い足場に足をあげて乗り込む動き)

B:キョン・ドロップニー(股関節を内に捻って、バランスをとる動き)

C:ヒールフック(足場に踵を引っ掛ける動き)

D:着地(不意に落ちて片足で着地してしまう、両足で着地するも膝が内に入り捻ってしまう)

海外のアスリートと一般のクライマーを合わせた統計では、全体の約半数がインドアボルダリングでの受傷と報告されています

競技レベルが高くなるほどフック系の動きを多用するために、ヒールフック(C)による受傷頻度が高いようです。

性差で言うと女性の方が関節・筋肉の柔軟性・可動域が高く、捻りに対抗する筋力が不足するために受傷率が高いといわれています。

着地動作では習慣的に膝が内に入ってしまっている場合や不意な着地で受け身が取れず膝が捻れてしまって受傷することが多いようです 。

前十字靭帯の再建術では、競技復帰までに8〜10ヶ月のプロトコル(リハビリテーション計画)が組まれることが多いです。

当院との連携のある順天堂大学医学部附属練馬病院では、

3ヶ月でジョギング〜ランニング、8ヶ月で競技復帰のプロトコルで組まれています。

手術を要する半月板損傷では、競技復帰までに手術方法によりますが3〜4ヶ月のプロトコルが組まれることが多いです。

内側・外側側副靱帯は自然治癒が見込まれるために、テーピングやブレースによるサポートを受けて、保存療法が選択されることが多いです。

まとめ

本日はボルダリングに多い膝の怪我と怪我につながりやすい動きについて紹介しました。

私自身、クライミング(ボルダリング・リードクライミング)をインドア・アウトドアで現在も続けており、競技特有の知識を培ってきました。

一人一人、身体的特徴、柔軟性、筋力、バランスが異なるため、必要な治療プログラムを私が作成させていただきます。

競技復帰に際して相談があればぜひ当院を訪れてみてください。

理学療法士 佐藤