こんにちは、理学療法士の中束です。

 

昨年の11月~12月にはサッカーW杯カタール大会が行われ、年末年始にかけては全国高校サッカー選手権大会が行われていました。

 

W杯や全国高校サッカーを見て、将来その舞台に立ってプレーしたいと思う小学生や中学生は多くいると思います。

 

そこで、今回そういったスポーツをする小学生や中学生に多くみられる、オスグッド病について紹介します。

オスグッド病とは

オスグッド病とは、正式にはOsgood-Schlatter Disease(OSD)といいます。病態としては、骨格が未熟(小児期~青年期)なスポーツ選手に多い、膝前面部痛です。

 

主な原因としては、脛骨粗面(けいこつそめん)に牽引性のストレスがかかり、骨端炎や骨膜炎が生じることで痛みが出現します。

なぜ、脛骨粗面に牽引性のストレスがかかるのでしょうか。

 

オスグッド病の原因やリスク因子について、さまざまな要因が考えられています。そのうちの一つとして、大腿直筋(だいたいちょくきん)の影響があります。

 

大腿直筋は、大腿四頭筋[大腿直筋、外側広筋、中間広筋、内側広筋]の一つで、骨盤~脛骨粗面に付着し、大腿前面(太もも前)を走行する二関節筋です。

※二関節筋:二つの関節をまたぐ筋で、その二つの関節の動きに関与する。

例)大腿直筋:股関節と膝関節に関与

 

 

そのため、大腿直筋が伸長(伸ばされる)されたり、強く収縮(筋肉に力が入る)されることで牽引性のストレスがかかりやすくなります。

 

ストレスが増加する要因として、筋肉の硬さ(柔軟性低下)、骨成長に伴う筋の伸長、身体の使い方などが関係しています。

対応

オスグッド病の予後は良好とされています。しかし、症状が長期化・悪化したり、後遺症が残存するケースもあるといわれています。

 

そういった場合の多くは、適切な治療を受けていなかったり、痛みを我慢してプレーを続けていたりなどが関係しています。

 

<対応の具体例>

①疼痛に対する対症療法(アイシング、物理療法など)

②活動の修正、活動の休息(安静、トレーニング内容の修正など)

③生体力学的因子の修正(筋の柔軟性改善、姿勢・動作の修正など)

●ストレッチの一例

ストレッチのポイントとしては、①反対側の股関節を曲げた状態、②ストレッチする側の太ももが肩-お尻のラインより後方にすることが挙げられます。

 

膝を屈曲(曲げた状態)させ、股関節を伸展(太ももが肩-お尻よりも後方)の動きを組み合わせることで、二関節筋である大腿直筋がより伸長されます。

 

●身体の使い方の一例

<ランジ>

左の写真では、前方の足での支持が優位となり、膝の屈曲角度が大きく、力が前方(矢印方向)へかかりやすくなります。そうすると、大腿四頭筋の遠心性収縮(伸長されながら筋に力が入る)が過剰になります。そうすると牽引性のストレスがかかりやすくなります。

 

右の写真では、後方の足での支持も出来ており、前方の足の股関節もうまく使えているので膝へのストレスは少なくなります。

 

 

オスグッド病の対応としては、ストレッチだけでは不十分なことが多く、身体の使い方の修正が必要な場合が多いです。

そういった場合には、ストレッチだけでなく筋力トレーニングや動作修正が必要になります。とくにジュニア年代では、まだ身体の使い方が十分に出来ていないこともある為、より動きの練習が重要になります。