
こんにちは、理学療法士の小柳です。
患者さんから、『骨盤の高さが違う、足の長さが違う』と言われることがあります。
また、患者さんからの訴えが無くとも、私たち理学療法士が歩行を確認するなかで足の長さが違うのではないかと思うことも多々あります。
そんな、足の長さの違い(脚長差)といっても、実際に長さが違うだけでなく色々な理由があります。
今回は、脚長差について原因や対応方法について解説したいと思います。
3種類の脚長差
足の長さの測定には、メジャーを使って実際に足の長さを測る方法やレントゲンを使用して傾きなどを測定する場合があります。
脚長差も原因や評価の方法で以下の種類に分類されます。
- 構造的脚長差:実際に脚長差がある
- 機能的脚長差:足の長さに差はないが、筋力や可動域の低下で動作の時に脚長差が生じる
- 自覚的脚長差:患者さんが感じている脚長差

構造的脚長差は、実際の骨の長さに違いがあり足の長さが違うことを指します。教科書的には3cm以内であれば骨盤や体幹での代償が可能とされています。
しかし、臨床では構造的脚長差が3cm以内でも、自覚的脚長差が存在することで左右の体重負荷量が変わってしまうことが言われており、実際に早期からの対応で、下肢の機能向上にもつながるのではないかと言われております。(参考文献:川端悠士,他:人工股関節全置換術例の自覚的脚長差に対する補高は下肢荷重率の均等化に有用か?)
足の長さの違いを補高で対応
構造的脚長差がある場合には、脚長差に合わせた補高(ほだか)を行います。
3cm以上での脚長差では、補高靴など靴の底で高さを出すことが多く、実際の脚長差の80%程度まで高さを上げることが推奨されていることもあります。(5cmの脚長差なら4cmまでの補高)
また、当院では理学療法士が個人に合わせたオーダーメイドインソールの作成を行なっており、補高に合わせ歩きを整えるように調節したインソールを靴の中へ挿入することで1-1.5cm程度までの脚長差に対応することも可能です。

あまり、靴の中で補高を出すと、踵が浅くなり靴が脱げやすくなってしまうため対応には注意が必要です。
機能的脚長差に対しては、股関節の関節可動域練習や歩きの際に骨盤の傾きを調節する筋肉である中殿筋など股関節周囲筋の筋力増強や動作練習などを行い、より歩行をスムースに行えるようにサポートをしていきます。
また、主観的脚長差の差に対しては、反復した歩行練習や動作練習が適しているとされており、症状を感じるタイミングを評価しながら、動作練習にて感覚入力を行なっていきます。
当院では、股関節や足に詳しいスタッフがリハビリを対応させていただくとともに、オーダーメイドインソールの作成も行なっているため、足の長さに左右差を感じる方は、ぜひお気軽にご相談ください。
小柳