
こんにちは、理学療法士の佐藤です。
ストリームラインとは
泳ぎ方を教わるときによく使われる言葉で、けのびの姿勢とも言われています。競技で使われる泳ぎ方はクロール、バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎの4種類あります。
決められた泳ぎ方で、一定の距離を泳ぎきったタイムを競うスポーツのことを、競泳と呼んでいます。よりタイムを縮めるために、4種類の泳ぎ方に共通して水中の姿勢が重要と言われています。
なぜ、水中の姿勢が競泳で重要かというと、陸の上と違って水中では水の抵抗を受けるためです。
水の抵抗を減らすほど、腕のストローク(水をかくこと)・足でのキックで生んだ推進力をそのまま使うことができます。凹凸の少ない直線に近いフォームに近づけることで、身体に受ける水の抵抗を少なくすることができます。
最も水の抵抗の少ない直線に近い姿勢のことを「ストリームライン」といい、水泳の基本姿勢として知られています。
私たち理学療法士は水泳選手の身体評価では、立位姿勢の評価に追加して陸上でのストリームラインを必ず確認します。陸上で行なった姿勢が水中に反映されることが多いためです。
ストリームラインの具体例

一番右の写真が理想的なストリームラインです。肘が真っ直ぐ伸びた状態で手を重ねたときに、背中の丸まりや過度な腰の反りがない状態です。
真ん中の写真は、背中の丸まりが強い姿勢です。背中が伸びきらず、頭が前に出ていて、腕も真上へ上がりきっていません。
一番左の写真は、腰が過度に反っている姿勢です。一見すると腕は真上に上がっているように見えますが、腰が過度に反ってしまっていることが特徴的です。
立位での評価をした上で、バランスボール上や四つ這いでも、ストリームラインを評価します。立位姿勢との違いは、姿勢だけでなくクロールのストロークの動きの評価が可能なことです。
膝や腰などの疾患でキック動作に問題がある場合は、四つ這いでのキックバックと呼ばれる運動種目で腰の不安定性がないかを確認します。

直線に近いストリームラインを作れない原因は、身体的要因(可動域・筋力・運動制御)が主な理由です。また、他のスポーツ同様に疲労の蓄積によっても起こります。
例えば、背中が伸び切らない原因として、胸椎と呼ばれる背骨の柔軟性が落ちていることや背筋群の筋力が不足してしまっている。
腰が反ってしまう原因として、体幹の筋力が不足して、腰椎のコントロールができていないことや腸腰筋とよばれる股関節の前側の筋肉の柔軟性が低下することでも起きてしまいます。
水泳選手に多い怪我は、「肩痛」、「腰痛」、「膝痛」があります。水泳選手の怪我は、陸上で行うスポーツと違って転倒や接触が起らないため、明らかな受傷機転のない慢性的な発症が怪我の特徴です。
理想的なストリームラインが作れていなければ、水の抵抗を強く受けて、泳ぐ効率が落ちてしまいます。効率の悪い中で努力的に泳ぐことを繰り返せば、関節への負担が増えてしまうと考えているため、ストリームラインの作り方をリハビリでは重要視してます。
佐藤