
こんにちは、理学療法士の中村です。
整形外科を受診される患者さんの中で多い疾患の1つとして「腰痛」があります。
腰痛といっても原因となる組織はさまざまで、椎間関節、椎間板、筋筋膜、仙腸関節、神経組織などがあります。
腰痛は幅広い年代で起こりますが、小学生・中学生・高校生でスポーツを継続的に行なっている学生の場合、「腰椎分離症」に注意が必要です。
腰椎分離症とは
「腰椎分離症」とは、骨が未成熟な成長期に、スポーツなどの動作で腰椎に伸展および回旋の負荷が持続的、繰り返し加わることで、腰椎に負担がかかり続け疲労骨折が起こった状態です。
スポーツを高頻度でしている若年者の場合、「レントゲン(単純X線検査)は問題ないから大丈夫」でありません!
なぜなら、初期の腰椎分離症はレントゲンでは診断が困難だからです。
単純X線検査の斜位像で判断可能なサイン「スコッチテリアの首輪」が分かった時点で、腰椎分離症の状態は終末期となっており骨癒合が期待できない状態となっています。
逆を言うと、初期の腰椎分離症は適切な対応をすれば骨癒合を期待できます。
腰椎分離症を発症すると、将来的に腰椎すべり症になる可能性があるため、早期発見・早期治療が重要です。
MRIにて早期診断、骨折治癒能力の推測を行い、CTにて病期分類、最終的な骨癒合の評価を行います。
MRIでは、STIRにて、椎弓部分の骨髄浮腫の有無を確認します。
CTで異常所見はないがMRIで椎弓部分に骨髄浮腫が認められた場合、早期の腰椎分離症として硬性または軟性コルセットの着用を検討します。
腰椎分離症の治療の基本は、骨折部位への負荷をなくす = 運動を中止し、一定期間、腰椎の伸展・回旋ストレスを減らすためにコルセットを着用することです。
スポーツ復帰時期は、2〜3ヶ月後にMRIにて骨輝度変化の消失およびCTにて骨癒合を確認して決定します。
2週間以上続く、片側の伸展時の腰痛は要注意!
- 日常生活で腰は痛くないが、運動時に腰が痛くなる
- 2週間以上、痛みが続く( = 痛みが変わらない)
- 腰をそらす(伸展)、回す(回旋)と痛い
- 痛みは腰の片側にでる
- 痛みは鋭い
- 腰を押すと痛い
上記の症状に、複数、当てはまる場合は注意が必要です。
上記の症状に複数当てはまる場合、お子様だけで通院されるのではなく、初回は保護者同伴にてクリニックを受診することがいいでしょう。
(MRIの実施については医師によって方針が異なりますが)
「若年者でスポーツを高頻度で行っており、運動時に腰をそらすような動作で片側の腰部が痛くなることが2週間以上続いている場合」は腰椎分離症に要注意、MRIの必要性を検討します。