中期(術後4週〜6週)
足関節靭帯損傷・術後リハビリテーションの中期は、引き続き組織の修復を図りながら、痛みの程度に合わせて、足関節底屈の可動域改善、正常歩行の獲得、バランス機能の改善を行っていきます。
この時期は無理をしないことが大切です。やりすぎは組織に負担をかけてしまいますので、量よりも質(Quality over Quantity)を心がけましょう。
医師からの指示:
- 底屈練習開始
- 内がえし・外がえしは禁止
- 軟性装具着用
目標:
- 底屈可動域の改善
- 正常歩行
- バランス機能の改善
注意点:
- 体重のかかるエクササイズは、軟性装具を着用して行う。
次回の診察で確認してほしいこと:
- 自転車開始時期
- 足関節底屈動作の開始時期
- 足関節内がえし・外がえし動作の開始時期
- 軟性装具の着用について(いつまで?外していい動作は?)
- ランニング復帰時期
- スポーツ復帰時期(対人ははいつから?)
関節可動域エクササイズ
- 軟性装具を外して行う。
- 痛みのない範囲でエクササイズを継続する。
- 痛みが増悪する場合は中止する。
ボールスライド前

- 座位、足をボールに乗せる。
- ボールを前に転がす(足関節底屈)
回数・セット数の目安:10回、3〜5セット
まっすぐ転がす。足が斜めにならないように注意する。
足趾と握手:足関節底屈・背屈

- 座位、手の指を足の指の間に入れる。
- 足趾を掴んだまま、足関節を上下に動かす。内返し・外返しにならないように注意する。
回数・セット数の目安:10回、3〜5セット
座位)足関節底屈

- 座位、両膝を伸ばし、両足を前に投げ出した姿勢をとる。
- つま先を上げる・下げる。
回数・セット数の目安:10回、3〜5セット
足関節エクササイズ
- 痛みのない範囲でエクササイズを継続する。
- 痛みが増悪する場合は中止する。
- 回数・セット数の目安:3〜5セット
レベル1
トゥスプレットアウト

- 座位または立位にて、足の角度を90度にする。
- 全ての指をそらし、小指、親指、第2〜4足趾の順につける。10回、繰り返す。
難しい場合は、全ての指を上げて、親指だけ(または、小指だけ)をつける練習をしてください。できるようになったら、自分で第2〜4足趾を手で持つ、小指をつけて、次に、親指をつけましょう。
回数・セット数の目安:10回、3〜5セット
<参考動画(外部リンク)>
座位)ヒールレイズ:下腿三頭筋

- 座位にて、足を肩幅に開き、足関節を90°にする。
- 踵を上げる(つま先立ち)。左右、同じ場所に荷重する。10〜20回、繰り返す。
荷重する場所は、母趾または第2趾の付け根です。母趾を意識するあまり、内側につぶれてしまう場合は、第2趾を意識して荷重しましょう。
回数・セット数の目安:10〜20回、3〜5セット
後方ステップ

- 立位、片足を後にステップする。
- 前足部(つま先)が床についたら、ゆっくり踵を下ろす。10回、繰り返す。
前足部のコントロール向上、足と膝の協調性向上を目的に行うエクササイズです。
「4歩、前に歩いて、4歩、後に歩く」と狭いスペースでも簡単に練習可能です。
回数・セット数の目安:10回、3〜5セット
立位)ヒールレイズ:下腿三頭筋

- 立位にて、足を肩幅に開く。
- 踵を上げる(つま先立ち)。左右、同じ場所に荷重する。
- ゆっくり下げる。10回、繰り返す。
荷重する場所は、母趾または第2趾の付け根です。母趾を意識するあまり、内側につぶれてしまう場合は、第2趾を意識して荷重しましょう。
回数・セット数の目安:10〜20回、3〜5セット
ステップ)ヒールレイズ:下腿三頭筋

- 立位にて、足を前後に開く。
- 前と後ろの踵を同時に上げる(つま先立ち)。
- ゆっくり下げる。
荷重する場所は、母趾または第2趾の付け根です。母趾を意識するあまり、内側につぶれてしまう場合は、第2趾を意識して荷重しましょう。
回数・セット数の目安:10〜20回、3〜5セット
立位)ヒールレイズ&シングルドロップ:下腿三頭筋

- 立位にて、足を肩幅に開く。
- 踵を上げる(つま先立ち)。左右、同じ場所に荷重する。
- 片足を上げて、もう一方の片足をゆっくり下げる。
荷重する場所は、母趾または第2趾の付け根です。母趾を意識するあまり、内側につぶれてしまう場合は、第2趾を意識して荷重しましょう。
回数・セット数の目安:10〜20回、3〜5セット
バランスエクササイズ
- 痛みのない範囲でエクササイズを継続する。
- 痛みが増悪する場合は中止する。
- 回数・セット数の目安:3〜5セット
レベル1
タンデム

- 立位、踵とつま先を合わせる。
- 正面を向き、保持する。
壁と壁のコーナー行うと安全である。前足と後足に体重がかかる。
回数・セット数の目安:10秒、3〜5セット
タンデム&前方リーチ

- 立位、踵とつま先を合わせる。
- 両手を合わせ(合唱)、前にリーチする。
回数・セット数の目安:10回、3〜5セット
タンデム&回旋


- 立位、踵とつま先を合わせる。
- 両手を合わせ(合唱)、前にリーチする。
- 顔・手・胸が同じ方向を保ったまま、左右に身体を回す。
回数・セット数の目安:10回、3〜5セット
タンデム&眼球運動

- タンデム肢位をとる。
- 親指を見てから、頭を回す。
回数・セット数の目安:10回、3〜5セット
レベル2
片足立ち

- 足を肩幅に開いてに立つ。
- 大腿を持ち上げ、片足立ちを10秒保つ。
両肩は水平、足全体で荷重、2番目の足趾の軸を意識する。
大腿を持ち上げるのが難しい場合、踵を上げる。
回数・セット数の目安:10秒、3〜5セット
片足立ち&前後スイング

- 足を肩幅に開いてに立つ。
- 大腿を持ち上げ、片足立ちをとる。
両肩は水平、足全体で荷重、2番目の軸を意識する。 - もう一方の下肢を前後に動かす。
両肩は水平、骨盤は動かないように注意する。
回数・セット数の目安:10回、3〜5セット
ウォールプッシュ

- 足を肩幅に開いてに立つ。
- 大腿を持ち上げ、片足立ちをとる。
両肩は水平、足全体で荷重、2番目の軸を意識する。 - 壁に両手をついて押し、片足立ちを5秒とる。
回数・セット数の目安:10回、3〜5セット
片足立ち&左右スイング

- 足を肩幅に開いてに立つ。
- 大腿を持ち上げ、片足立ちをとる。
両肩は水平、足全体で荷重、2番目の軸を意識する。 - もう一方の下肢を左右に動かす。10回繰り返す。
両肩は水平、骨盤は動かないように注意する。
回数・セット数の目安:10回、3〜5セット
全身エクササイズ
- 痛みのない範囲でエクササイズを継続する。
- 痛みが増悪する場合は中止する。
体幹エクササイズ【中級C】四つばい
四つばいのエクササイズは、可動域の改善度合い、痛みの程度に応じて、足関節のポジションを調整する。
体幹エクササイズ【中級C】四つばい
目次クローリングベアーポジションハイ・ベアーポジションアームリーチレッグリーチバードドック クローリング クローリング・ハンド:四つばいを保ちながら、片手を前に出す。 クローリング・レッグ:四つばいを保ちながら、片足を前 […]
ブリッジ

- あおむけ、両膝を曲げる。 両膝の間は握りこぶし1つ分とする。膝を深く曲げると殿筋、膝を浅く曲げるとハムストリングスの活動が主になる。
- お腹に力を入れ、骨盤を後に傾け、お尻を天井方向に持ち上げる。左右の足底に均等に力が入る。
- お尻を下げる(背中、腰、お尻の順に戻す)。左右のお尻が同時に着くようにする。
腰で上げない、腰をそらない、ように注意する。
回数・セット数の目安:10〜20回、3〜5セット
スクワット

- 両足は肩幅、そけい部に手を置く。
- 椅子に座るイメージで、お尻から動きだし、股関節と膝関節を同時に曲げる。そけいぶに置いた手が、はさまれると上手くできています。
回数・セット数の目安:10〜20回、3〜5セット
ポイント
- 股関節と膝関節を同時に曲げる
- 膝とつま先はまっすぐ
- 膝がつま先から出すぎない
- 背中の線と下腿の線が平行になる

良くない動き
- 膝だけ曲げる
- 膝が内側に入る
- 腰がをそる、腰がまるまる
- 荷重が均等にならない
怪我をした後は、痛い側の足に体重がかかならない傾向にあります。
左右均等に体重がかかるように練習しましょう。 - しゃがむ時につま先が浮く
重心が後方にある、足首が硬いと、つま先が浮いてしまいます。
スクワット+前ならえ

- 両足は肩幅、両腕は体側に置く。
- 椅子に座るイメージで、お尻から動きだし、股関節と膝関節を同時に曲げながら、両腕を前方に伸ばす。
回数・セット数の目安:10〜20回、3〜5セット
スクワット&外側シフト

- スクワットのポジションを取る。
- 身体を横に動かし、片足に体重を乗せる。
- スクワットのポジションに戻る。
- 立つ。
1、2、3、4のリズムで行いましょう。

膝が内側に入らないように注意する。
回数・セット数の目安:10〜20回、3〜5セット
スクワット&ヒールレイズ

- スクワットのダウンポジションを取る。
- 踵を上げる(つま先立ちをする)。荷重が第2足趾(母指球の横あたり)になる。
- 踵を下げる。
- 立つ。
1、2、3、4のリズムで行いましょう。
踵を上げた時(つま先立ち)に、上体が起きない、膝がつま先より前にですぎないように注意しましょう。小指側に荷重しないように気をつけましょう。
回数・セット数の目安:10〜20回、3〜5セット