初期(術後10日〜3週)

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術後リハビリテーションは主治医の指示および術後リハビリプロトコール(リハビリ計画)に従います。

紹介状に術後リハビリプロトコールがない場合、定期受診の際に患者さんご自身での確認が必要です。

ここで紹介している術後リハビリプロトコールは1つの基準です。

各段階へのステップアップは、主治医の指示のもと、手術内容、回復度、リハビリの進み具合、身体機能、競技レベルなどを考慮して決定されます。

足関節靭帯損傷・術後リハビリテーションの初期は、組織の修復を図りながら、痛みの程度に合わせて、足関節背屈の可動域改善、立ち上がりなどの基本動作の改善を行っていきます。

この時期は無理をしないことが大切です。やりすぎは組織に負担をかけてしまいますので、量よりも質(Quality over Quantity)を心がけましょう。

医師からの指示

  • 軟性装具着用下での歩行
  • 背屈練習を開始
  • 底屈練習は不可

目標

  • 背屈可動域の獲得
  • 正常な立ち上がり

注意点

  • 体重のかかるエクササイズは、軟性装具を着用して行う。
  • 日常生活動作では過度な底屈位にならない
    例)足を投げ出して座る
    例)あぐら
    例)うつぶせ(足を伸ばす)
    例)寝るときに重い布団を足に乗せる

  • 正常歩行では、体重がかかるときに底屈5°、地面を蹴るときに底屈15°が必要とされています。地面を過度に蹴るような歩行にならないようにしましょう。痛みがある場合は、松葉杖を使用します。

診察で確認してほしいこと

  • 足関節底屈動作の開始時期
  • 自転車開始時期
  • 足関節内がえし・外がえし動作の開始時期
  • 軟性装具の着用について(いつまで?外していい動作は?)
  • ランニング復帰時期
  • スポーツ復帰時期(対人ははいつから?)

関節可動域エクササイズ 

  • 可動域を改善させるため、背屈方向のため、軟性装具を外して行う
  • 痛みのない範囲でエクササイズを継続する。
  • 痛みが増悪する場合は中止する。

タオル)下腿三頭筋ストレッチ

  • 長座位、タオルを足裏にかける。
  • 両手で手前に引く。

回数・セット数の目安:30〜60秒、3〜5セット

立位)下腿三頭筋ストレッチ

  • 壁に両手をつき、足を前後に開く。*壁がなくても可能
  • 後ろ側の踵を床につけ、つま先まっすぐ、膝をしっかり伸ばす。

回数・セット数の目安:30〜60秒、3〜5セット

台)下腿三頭筋ストレッチ

  • 段差から片足を出す。
  • 踵を台から降ろす。

回数・セット数の目安:30〜60秒、3〜5セット

足背屈セルフモビライゼーション

  • 椅子などに片足を乗せ、足関節中間位とし、ホワイトテープ(38mm を2分割)を足首前面から踵に向かって2枚巻く。
  • 膝をつま先方向に倒して、5〜10秒止める。

回数・セット数の目安:10回、3〜5セット

別法:術後などで術創部にテープが貼ってある場合、38mmホワイトテープの真ん中を折って端を踵で止める。

ヒラメ筋ストレッチ

  • 四つばい、片膝を曲げる。
  • 身体を前に倒しながら、すねを前に傾ける(お尻とふくらはぎが近づく)。

回数・セット数の目安:30〜60秒、3〜5セット

足底筋膜ストレッチ

  • 座位、足を組み、踵とつま先を持つ。
  • 踵を押しだしながら、つま先をそらせる。

回数・セット数の目安:30〜60秒、3〜5セット

四つばい)しゃがみこみ:足関節背屈位

  • 四つばい、つま先を立てる。
  • しゃがむ(お尻を下げる)。

回数・セット数の目安:10回、3〜5セット

足関節エクササイズ

  • 荷重がかからない動き、足関節背屈方向の運動のため、軟性装具を外して行う
  • 痛みのない範囲でエクササイズを行う。
  • 痛みが増悪する場合は中止する。

ボールスライド後ろ

  • 座位、足をボールに乗せる。
  • ボールを後に転がす(足関節背屈)

まっすぐ転がす。足が斜めにならないように注意する。

回数・セット数の目安:10〜20回、3〜5セット

ボールプッシュ

  • 座位、足をボールに乗せる。
  • 足をまっすぐ下げて、ボールを床方向に押す。

回数・セット数の目安:10〜20回、3〜5セット

タオルギャザー(グーパー)

  • 座位または立位にて、足関節中間位にする。
  • 足の指を握る(グー)。
  • 足の指を開く(パー)。母趾と小趾がしっかり外に開くようにする。

靴下、タオルなどを用いても良い。

回数・セット数の目安:10〜20回、3〜5セット

足趾屈曲&背屈エクササイズ

  • 座位にて、足趾を曲げる(グー)。
  • つま先を上げる。

回数・セット数の目安:10〜20回、3〜5セット

足関節背屈等尺性エクササイズ

 

  • 座位にて、術側のつま先に健側の踵を重ねる。
  • 術側のつま先を上げて、5秒止める。

回数・セット数の目安:10〜20回、3〜5セット

立ち上がり練習

  • 痛みのない範囲でエクササイズを行う。
  • 痛みが増悪する場合は中止する。
  1. 両足を後ろに引く。背屈可動域が不足している間は足を後ろに引けません。可動域改善に伴い両足を後ろに引いてきましょう。
  2. 骨盤を立て、骨盤から動き出す。

お尻が椅子から離れる時は、左右均等、膝とつま先が同じ方向を向く。

できる範囲で左右均等の荷重を練習しましょう。

回数・セット数の目安:10回、3〜5セット

歩行練習

  • 痛みのない範囲でエクササイズを行う。
  • 痛みが増悪する場合は中止する。
  • ウォールスライドが安定してきたら、前方ステップを行う。

ウォールスライド

 

  • 立位、壁の前で足を前後に開き(手術した足が前)、前足のつま先を上げ(足関節背屈位)、壁にタオルと手を置く。
  • タオルを上方向にスライドさせながら、後ろ足の踵を上げて、前足に体重移動する。

回数・セット数の目安:10回、3〜5セット

おへそは壁を向く、お尻が足の上に乗るイメージ。

適切な体重移動を練習することで、歩行時の安定性を向上させるエクササイズです。

膝が曲がらない、身体が回らないように注意しましょう。体重が乗る前に膝が伸びしてしまうと、お尻が後方になってしまうので注意しましょう。

前方ステップ

  • 立位、足を前後に開き(手術した足が前)、前足のつま先を上げ(足関節背屈位)
  • 後ろ足の踵を上げて、前足に体重移動する。

回数・セット数の目安:10回、3〜5セット

おへそは前を向く、お尻が足の上に乗るイメージ。

適切な体重移動を練習することで、歩行時の安定性を向上させるエクササイズです。

荷重時にお尻が足より後にならない(腰が引ける)、骨盤が横にシフトしないよう注意しましょう。

患部外エクササイズ

  • 体重はかからないが、足関節底屈位にならないように注意するために、軟性装具を着用して行う。
  • 全てのエクササイズは足関節中間位で行う。
  • 痛みのない範囲でエクササイズを行う。
  • 痛みが増悪する場合は中止する。
ヒップエクステンション

うつぶせになるとき、足関節底屈位にならにように注意

体幹エクササイズ【中級A】あおむけ

*アドバンスのバランスボールは行わない。