当院では、受傷後早期から、テーピングやサポーターを装着して、足関節の内外反を制動したうえで足関節の底背屈運動を引き出し全荷重をかけるファンクショナルトリートメントという治療を実施しています。
当院の足関節靭帯損傷のリハビリテーションは、大きく分けて初期(〜2週)、中期(〜4週)、後期(〜6週)スポーツ復帰時期(〜8週)の4段階に分けられています。
目次
初期(受傷後〜2週)
目的:組織修復・背屈可動域の改善・正常歩行の獲得
組織の修復を図りながら、痛みの程度に合わせて、足関節背屈の可動域の改善、正常歩行の獲得を行っていきます。この時期は無理をしないことが大切です。やりすぎは組織に負担をかけてしまいますので、量よりも質(Quality over Quantity)を心がけましょう。
注意点

- 日常生活動作では過度な底屈位にならない
例)足を投げ出して座る
例)あぐら
例)うつぶせ(足を伸ばす)
例)寝るときに重い布団を足に乗せる
- 正常歩行では、体重がかかるときに底屈5°、地面を蹴るときに底屈15°が必要とされています。地面を過度に蹴るような歩行にならないようにしましょう。痛みがある場合は、松葉杖を使用します。
関節可動域エクササイズ
ストレッチの目安:30〜60秒、3〜5回
最初は体重のかからない姿勢で行い、痛みに応じて体重のかかる姿勢(立位・台)で行う。
タオル)下腿三頭筋ストレッチ

- 長座位、タオルを足裏にかける。
- 両手で手前に引く。
立位)下腿三頭筋ストレッチ

- 壁に両手をつき、足を前後に開く。*壁がなくても可能
- 後ろ側の踵を床につけ、つま先まっすぐ、膝をしっかり伸ばす。
台)下腿三頭筋ストレッチ

- 段差から片足を出す。
- 踵を台から降ろす。
足背屈セルフモビライゼーション

- 椅子などに片足を乗せ、足関節中間位とし、ホワイトテープ(38mm を2分割)を足首前面から踵に向かって2枚巻く。
- 膝をつま先方向に倒して、5〜10秒止める。
別法:術後などで術創部にテープが貼ってある場合、38mmホワイトテープの真ん中を折って端を踵で止める。

ヒラメ筋ストレッチ

- 四つばい、片膝を曲げる。
- 身体を前に倒しながら、すねを前に傾ける(お尻とふくらはぎが近づく)。
足底筋膜ストレッチ

- 座位、足を組み、踵とつま先を持つ。
- 踵を押しだしながら、つま先をそらせる。
足関節エクササイズ
運動量の目安:10回、3〜5セット
痛みのない範囲でエクササイズを行う。痛みが増悪する場合は中止する。
ボールスライド後ろ

- 座位、足をボールに乗せる。
- ボールを後に転がす(足関節背屈)
まっすぐ転がす。足が斜めにならないように注意する。
ボールプッシュ

- 座位、足をボールに乗せる。
- 足をまっすぐ下げて、ボールを床方向に押す。
タオルギャザー(グーパー)

- 座位または立位にて、足関節中間位にする。
- 足の指を握る(グー)。
- 足の指を開く(パー)。母趾と小趾がしっかり外に開くようにする。
靴下、タオルなどを用いても良い。
足趾屈曲&背屈エクササイズ

- 座位にて、足趾を曲げる(グー)。
- つま先を上げる。
足関節背屈等尺性エクササイズ

- 座位にて、術側のつま先に健側の踵を重ねる。
- 術側のつま先を上げて、5秒止める。
患部外エクササイズ
運動量の目安:10〜20回、3〜5セット
痛みのない範囲でエクササイズを行う。痛みが増悪する場合は中止する。
全てのエクササイズは足関節中間位で行う。足関節底屈位にならないように注意する。
ヒップエクステンション
うつぶせになるとき、足関節底屈位にならにように注意
体幹エクササイズ【中級A】あおむけ
*アドバンスのバランスボールは行わない。
立ち上がり練習
運動量の目安:10回
痛みのない範囲でエクササイズを行う。痛みが増悪する場合は中止する。

- 両足を後ろに引く。背屈可動域が不足している間は足を後ろに引けません。可動域改善に伴い両足を後ろに引いてきましょう。
- 骨盤を立て、骨盤から動き出す。
- お尻が椅子から離れる時、左右の足に均等に体重をかけ、立ち上がる。膝とつま先が同じ方向を向く。
できる範囲で左右均等の荷重を練習しましょう。
歩行練習
運動量の目安:10回
痛みのない範囲でエクササイズを行う。痛みが増悪する場合は中止する。
ウォールスライドが安定してきたら、前方ステップを行いましょう。
ウォールスライド

- 立位、壁の前で足を前後に開き、壁にタオルと手を置く。
- タオルを上方向にスライドさせながら、後ろ足の踵を上げて、前足に体重移動する。
おへそは壁を向く、お尻が足の上に乗るイメージ。
適切な体重移動を練習することで、歩行時の安定性を向上させるエクササイズです。

膝が曲がらない、身体が回らないように注意しましょう。体重が乗る前に膝が伸びしてしまうと、お尻が後方になってしまうので注意しましょう。
前方ステップ

- 立位、足を前後に開く。
- 後ろ足の踵を上げて、前足に体重移動する。
おへそは前を向く、お尻が足の上に乗るイメージ。
適切な体重移動を練習することで、歩行時の安定性を向上させるエクササイズです。

荷重時にお尻が足より後にならない(腰が引ける)、骨盤が横にシフトしないよう注意しましょう。
セルフテーピング
2週目以降、伸縮テープによるテーピングを行います。
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