変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは、関節軟骨の変性と摩耗、滑膜炎、骨棘、半月板の変性といった、関節の組織また関節の変形が起きている疾患です。

膝の可動域制限、筋力低下、歩行時の痛みによって、移動能力の低下や日常生活動作に制限がでます。

変形性膝関節症の診断には、単純X線(レントゲン)を用いるのが一般的です。

重症度の分類には、Kellgren Lawrence 分類(KL分類)を用います。

4段階に分かれており、骨棘の程度、関節裂隙の狭小化、軟骨下骨の骨硬化、辺縁の骨変形などを考慮します。

明らかな骨棘(骨のとげ)がある場合にグレード2として変形性膝関節症として判定します。

ただし、単純X線による変形性膝関節症の重症度と疼痛を主とした症状が必ずしも一致しないという点があります。

つまり、変形があっても症状が軽い、変形がなくても症状がある、といったことが起こります。

そのため、単純X線、KL分類のみを指標にして、治療方法を決定することはありません。

股関節・膝関節などの柔軟性低下、殿部や大腿の筋力低下、よくない身体の動かし方、過体重、よくない生活習慣などがあることで、膝に負担が生じ変性・痛みを起こします。

膝関節は、脛骨(すね)と大腿骨(もも)で構成される脛骨大腿関節と、大腿骨と膝蓋骨(膝のお皿)で構成される膝蓋大腿関節に分けられ、理学療法士が各々の関節の評価を行います。

当院では医師と理学療法士が連携して患者様の評価を行い、原因に対して治療プラン、リハビリの内容を作成し実施しております。

変形性膝関節症の理学療法

変形性膝関節症の理学療法には、ストレッチ・関節モビライゼーション、運動療法、動作修正エクササイズ、インソールなどがあります。

理学療法士が個々の患者様の身体・状態を評価し、機能障害の要因を判断し、治療内容を調整していきます。

理学療法士とは(外部リンク)

ストレッチ・関節モビライゼーション

問題となっている膝関節だけでなく、隣接関節(足関節・股関節など)に対しても、ストレッチ、関節モビライゼーション、筋膜リリースといった技術を用いて、関節の可動域を改善していきます。

また、関節可動域の維持・向上のために患者様自身にもご自宅でのストレッチ・運動をご提案しています。

<当院で指導しているホームエクササイズ(自主トレ)>

ホームエクササイズ

運動療法(有酸素・筋力トレーニングなど)

個々の身体機能を考慮した運動療法を行います。

膝周囲の筋力だけでなく、お尻の筋肉(中殿筋、大殿筋など)の筋力強化が重要になってきます。

また、荷重時(例:歩行時に足がつく時)に適切なタイミングで筋力が発揮できることも大切です。

変形性膝関節症の歩行時の特徴として、外側スラストというものがあります。足をついたときに膝が外側方向にブレてしまう現象です。

外側スラストの改善には、伸展可動域の獲得、殿部筋・大腿四頭筋の協調した筋活動、また、患者様によっては体幹の筋力などが必要になってきます。

理学療法士が口頭指示・徒手誘導を用いて筋力を発揮できるようにしていきます。

個々の筋力、状態に応じて、理学療法士が必要なエクササイズ、回数・セット数を設定します。

動作修正エクササイズ

立ち上がり、歩行などの動作時の痛みに対しては、動作修正エクササイズを行います。

急性期・炎症期は膝に負担のかからない動作(疼痛回避動作)をとります。これは組織に負担をかけない、組織の治癒を促進するために必要なことですが、炎症がおさまってもかばう動作を続けてしまうのは良くありません。

長期間の疼痛回避動作は、膝関節また別部位への負荷の増加、筋力低下、回避する動作の習慣化といった二次的な問題が起こります。

良くない身体の使い方は口頭指示で修正できる場合もありますが、理学療法士による徒手誘導にて修正を図っていくのが一般的です。

理学療法士が個々の患者様の動作を分析し、適時、動作を修正してきます。

インソール

股関節・膝関節・足部機への負担軽減、足部機能・バランスの改善、アーチのサポート、変形予防などを目的にインソールを作製します。

足サイズ・足の形態・立位姿勢などの評価に加え、歩行などの動作を確認しながら調整することで、より機能的なインソールを作製しています。

インソール作成についてはこちらをご確認ください。

インソール作製(保険外診療)