外反母趾とは
外反母趾とは、”母趾の付け根(母趾MTP 関節)が小趾の方向に曲がった状態(外反)” のことを言います。
外反母趾診療ガイドライン2014改訂第2版では、「外反母趾角(HV 角)20°以上」を外反母趾としています。
症状は、母趾の付け根の疼痛・腫脹・発赤、胼胝(べんち=たこ)、中足痛、アーチ低下によるバランス低下、足部機能低下による膝・股関節・腰の痛みなどさまざまです。
外反母趾が進行すると、足底の第2・3付近や第2趾背側の胼胝、第2趾背側部痛、第2MTP関節の脱臼が生じます。
HV角はフットプリントによる計測も可能です。当院ではフットプリントを用いて、HV角、荷重状況、足趾の変形などを確認してます。
外反母趾は圧倒的に女性に多い疾患です。ハイヒールなどの先端が細い靴や踵の高い靴を使用することが主原因と考えられています。この場合、基節骨が外反した状態となってしまいます。
しかし、外反母趾は母趾基節骨の外反だけでなく、第1中足骨の内反も原因の1つと考えられています。
第1中足骨の内反は足のアーチ低下と関係があります。
足には3つのアーチ(横アーチ・内側縦アーチ・外側縦アーチ)があります。
内側縦アーチ:踵骨・距骨・内側楔状骨・舟状骨・第1中足骨で構成
外側縦アーチ:踵骨・立方骨・第5中足骨で構成
横アーチ:内側縦アーチと外側縦アーチを結ぶアーチ
足のアーチ機能が下がり扁平足・開張足になることで、体重をしっかり支えられない、下肢の筋肉を正しく使えないといった問題が起こり、足だけでなく膝・股関節、また腰部に負担がかかります。
また、足のアーチ低下は、大きな靴を履く、運動不足による下肢の筋力低下・バランス低下などによっても起こります。
足サイズよりも大きい靴を履くと、足が靴の中で動いてしまい、体重をしっかり支えることができず、バランスを崩してしまいます。また、大きい靴に加えて、靴紐を結ばないことが多いと、より足が靴の中で動きます。
足が動くことで、母趾の付け根が靴に当たると痛みの原因となります。
そして、正しく母趾で地面を蹴って前に進むことができなくなります(推進力の低下)。
これらの状態が続くことによって、足の機能が低下していきます。
足の機能が低下することによって、足のアーチが下がっていきます。
第1中足骨が内反することで足部・前足部の横アーチが広がった状態の開張足、また、足部・縦アーチが低下した状態の扁平足になるといった悪循環が起き、外反母趾を作りあげていきます。
そして、母趾の付け根が当たって痛いから、さらに大きい靴を選ぶ、といった悪循環になります。
外反母趾は、不適切な靴を履く(先の細い靴、踵の高い靴、大きすぎる靴など)、足部機能低下、過去の怪我(捻挫などによる不安定性残存)、遺伝、足の形状や・変形、筋バランスの破綻などが考えられています。
当院では医師と理学療法士が連携して患者様の評価を行い、機能障害の要因を判断して治療プラン、リハビリを実施しております。
外反母趾の理学療法
外反母趾の理学療法には、正しい靴の履き方の指導、徒手療法、運動療法、テーピング、 物理療法、インソールなどがあります。
正しい靴の履き方
① 靴を履いてつま先を上げて、踵に合わせます。
② つま先を上げた状態で、靴紐を結びます。
悪い靴の履き方
つま先を下げて、踵が膝よりも前にだした状態で靴紐を結ぶと、歩行中に足首のところが痛くなります。
徒手療法
足関節、母趾MTP関節の動きを良くするために、セラピストが関節を動かしていきます。
運動療法
外反母趾の運動療法として、足趾をグーパーする運動や、母趾外転運動があります。足の機能が低下している場合、パーができなくなることが多いです。
足アーチ低下、足部の機能低下に対しては、ショートフットエクササイズなどを座位・立位で行っていきます。
殿部、大腿の筋力低下や不良姿勢が問題の場合は、足部以外の運動も行います。
外反母趾によって前足部への荷重がうまくできない場合、バランス低下などがある場合はバランスエクササイズ・歩行練習も行っていきます。
<当院で指導しているホームエクササイズ(自主トレ)>
テーピング
外反母趾に対するテーピングはさまざまありますが、簡単にできる方法として中足骨レベルを巻く方法があります。
中足骨を圧迫することで、足のアーチが形成され、足への負担を軽減できます。
疼痛が強い時期、室内で痛い場合などに有効です。
インソール
股関節・膝関節・足部機への負担軽減、足部機能・バランスの改善、アーチのサポート、変形予防などを目的にインソールを作製します。
足サイズ・足の形態・立位姿勢などの評価に加え、歩行などの動作を確認しながら調整することで、より機能的なインソールを作製しています。
インソール作成についてはこちらをご確認ください。